コーチングとは? 定義から効果、スキルを詳しく解説

メソッド
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本記事では、コーチングに興味がある方、コーチングを学んでみたい方が理解しやすいよう、コーチングのエッセンスをわかりやすくまとめました。「コーチングとは何か」「どのように行うのか」「どんな効果が得られるのか」が理解できます。

また、コーチングは非常に有用なスキルですが、弱点もあります。コーチングの弱点と、それをカバーする方法も、あわせてご紹介します。

コーチングの語源と歴史

コーチングとは何かを知るために、まずはコーチングの語源と歴史をご紹介します。

コーチングの語源

コーチの語源は「目的地へ連れて行ってくれる馬車(coach)」からきています。コーチという言葉は、現在、スポーツの世界でよく使われており、一般的に選手に技術的な指導をする人を指します。しかし正確には、選手に技術を教える人は、コーチではなくインストラクターになります。

インストラクターが単に技術を教えるのに対し、コーチは精神面をはじめ、さまざまな角度から、選手の目標達成を手助けする存在です。語源の通り、「目的地まで連れて行ってくれる人」といえます。そんなコーチが行うコーチングも、語源の通り、「目的地まで連れて行ってくれる技術」なのです。

コーチングの歴史

コーチングの発祥はアメリカです。主に1970年代に、優秀なスポーツコーチが、普段、選手にどのような声かけや接し方をしているのかが研究され、コーチ達の行っていたコミュニケーションスキルをまとめたのが、コーチングの始まりです。

コーチングは、最初は個人を中心に広まりましたが、やがてビジネスの世界で能力開発のメソッドとして注目を集めるようになります。1990年代半ばには、アメリカの大企業でもコーチングが導入され、それをきっかけに、多くの欧米企業が、人材開発のツールとしてコーチングを活用し始めます。

1990年代後半には、日本にもコーチングが入ってきます。企業で、管理職向けの人材開発の手法として普及するほか、自己啓発、自己成長を促すメソッドとしても、知られるようになります。

現在では、ビジネスの分野だけでなく、教育や育児、医療といった幅広い分野で、コーチングが活用されています。コーチングに関する本やコーチングが学べる講座も増えています。また、コーチングが広まったことで、コーチという職業も認知され、コーチ育成機関も数多く存在しています。

日本でのコーチングの歴史はまだ浅いですが、人材開発、自己成長を促すメソッドとして、幅広い分野で人気が高まっています。

コーチングとは何か?

コーチングは、どのように定義され、どんな特徴があるのでしょうか。また、何のために行うのでしょうか。コーチングの定義と特徴、目的を、それぞれご説明します。コーチングにおけるコーチの役割についても、あわせてご説明します。

コーチングの定義

コーチングとは、対話という手段を使って、クライアントの夢や目標を明確にし、その達成を支援する人材開発、能力開発のスキルです。

対話では、主にコーチからクライアントへ「質問」が投げかけられます。コーチがクライアントに適切な質問を繰り返すことで、クライアントが叶えたい目標は何なのか、その達成のためには何が必要で、どのように行動すればよいのか、クライアント自身が気づくよう促します。そして、クライアントが、自発的に、目標達成のために必要なマインドやスキルを身につけ、目標に近づけるよう支援を行います。

コーチングの特徴

目標達成を支援するメソッドは、コーチングの他にも数多く存在します。その中で、コーチングというメソッドの大きな特徴は、「目標」から「目標達成のための具体的な行動計画」まで、すべてクライアントに決めてもらう点です。コーチとの対話を通して、クライアント自身に、どうしたらいいか答えを導き出してもらいます。

そのため、コーチングでは、基本的に、コーチがクライアントに具体的な目標の達成方法を教えたり、自分の価値観でアドバイスを行うことはありません。コーチは、あくまでもクライアントが能動的に目標に向かって前進していけるよう、対話を通してサポートを行うにとどまります。

コーチングのセッションは、通常、コーチとクライアントの二名で、対話形式で行われます。セッションというかたちではなく、日常生活でコーチングを使うこともできます。叶えたい目標があったり、課題を抱えている相手に、どうしたらいいか自分で考えさせたい場面で活用できます。また、自分自身にセルフコーチングができるのも、コーチングの特徴の一つです。

コーチングの目的

コーチングの目的は、対話を通してクライアントに「気づき」を与えることです。

コーチングでは、対話を重ねることで、クライアントに「望む状態」や「本当の思い」「使えるリソース」「自分の可能性」といった事柄について、新たな気づきを与えます。具体的には「自分は本当はこう思っていたんだ!」「本当はこれがやりたかったんだ!」「自分にはこんなこともできるんだ!」といった、クライアントにとって大きな気づきです。

普段の生活の中では、このような気づきを得ることは、なかなかありません。ですが、コーチと対話を重ねることで、徐々に頭の中が整理され、これまで意識していなかった思いや考えに気づくことができるのです。

コーチングでは、この気づきを踏まえて、クライアント自身に「自分はどうなりたいのか」「そのために、どうすべきなのか」をじっくり考えてもらいます。そして、自分で目標を設定し、目標達成に向けてどのように行動していくかを決めてもらいます。

「気づき」は、コーチングにおいて、クライアントの目標達成への道しるべとなる、非常に重要な要素です。

コーチの役割

コーチは、単にクライアントの目標達成を支援するだけでなく、クライアントを、人間的にも成長へと導く役割を担っています。

コーチは、セッション中、「今抱えている問題は何なのか」「どんな未来を望んでいるのか」「そのために今すべきことは何なのか」クライアントに多くの気づきを与えます。このようなセッションを重ねることで、クライアントに自分で問題を解決するリソースを身につけさせます。そして、最終的には、コーチなしでも目標達成や問題解決ができるようになってもらうことを目指します。

このように、コーチングは、クライアントの可能性を伸ばし、長期的な成長を促すことも視野に入れて行います。そのためコーチは、目標を達成した後のクライアントの姿も見据えて、セッションに臨まなければなりません。

コーチングでは、対話を通してクライアントに新たな気づきを与え、クライアントが望む状態へ向かって前進するのをサポートします。また、セッションを通じて、クライアントの長期的な成長も促します。

コーチングの三原則

コーチングでは、コーチがクライアントと関わる際、守るべき原則があります。コーチングの三原則といわれる「インタラクティブ(双方向)」「テーラーメイド(個別対応)」「オンゴーイング(継続性)」です。

この三つは、それぞれが深く関係しており、どれか一つ欠けては意味がありません。三つすべてを実践することで、コーチングの効果が発揮されます。

原則❶
インタラクティブ(双方向)

「インタラクティブ(双方向)」とは、クライアントと対等な立場でコミュニケーションをとることです。

コーチングでは、対話を通じてコーチとクライアントが関わりあいます。この関わりあいでは、お互いが対等な立場で、一方通行ではない、双方向のコミュニケーションを行うことが原則となります。

どちらかが一方的に話したり、聞いていない場合は、双方向ではありません。自らの先入観に基づいて相手の発言をジャッジしたり、アドバイスをしたりするのも、一方通行のコミュニケーションとなります。

一方通行のコミュニケーションでは、効果的な気づきが起こりにくいため、コーチングの成果が得られません。コーチとクライアントが、対等な立場で対話を重ねることが有効なコーチングにつながります。

原則❷
テーラーメイド(個別対応)

「テーラーメイド(個別対応)」とは、クライアント一人ひとりに合わせた対応を行うことです。

コーチングを行う際、目標が全く同じだったとしても、その達成のための効果的な方法は、一人ひとり異なります。Aさんでは成果が上がったやり方が、Bさんには全く効かないというケースはよく起こります。なぜなら、人は一人ひとり違い、目標達成の方法も、クライアント個人の行動パターンや思考パターン、経験値などによって大きく左右されるからです。

そのため、医療の分野における、遺伝子診断に基づいて患者一人ひとりに合った治療法を設定する「テーラーメイド医療」のように、一人ひとりのクライアントを丁寧に観察し、その人だけにカスタマイズされたコーチングを行う「個別対応」が求められるのです。

原則❸
オンゴーイング(継続性)

「オンゴーイング(継続性)」とは、クライアントと継続的に関わりつづけることです。

たった一度のコーチングで、クライアントの目標を達成まで導くのは、現実的に困難といえます。一度コーチングを受けて、そこで気づいたことを行動レベルまで落とし込み、その後自分で実践しつづけられる人はなかなかいないからです。なので、クライアントに、目標達成に必要となる新しい考え方や行動が定着するよう、継続的に支援しつづけていく必要があります。

また、継続的にクライアントと関わっていれば、目標達成の過程で起きた状況の変化にも即座に対応することができます。個別対応をするためにも、より深くクライアントを理解できるよう、関わりつづけることが重要です。

双方向のセッションを、クライアントに合わせた個別対応で、継続的に行うことで、コーチングが有効に機能します!

コーチングのやり方・方法

「対話」を重視するコーチング

コーチングでは、基本的にコーチとクライアントの二名が、セッション形式で対話を行います。

コーチング・セッションでは、コーチングの三原則をもとに、目標の決定から目標達成に向けた行動計画作成まで、すべて対話を通して行います。なので、セッションでは、クライアントから上手く話を引き出すこと、クライアントに多くの気づきを与えることが重要です。そのため、コーチは「質問」「傾聴」「要望」「承認」「フィードバック」といったスキルを使用します。またクライアントに信頼して話してもらえるよう、「ラポール」を築いておくことも大切です。

良い対話を行い、クライアントに効果的な気づきを与えられるよう、コーチは日頃から、必要なスキルの訓練をしておかなければなりません。

対話に求められる主なコーチングスキル

質問
クライアントの持つ考えや価値観、目標を特定したり、視点を広げて新たなアイディアを引き出すために、効果的な質問を行うスキルです。クライアントは、コーチからの質問に答え続けることで、頭の中が整理され、視点が広がり、さまざまな気づきを得ます。コーチは、できるだけ多くの気づきを与えられるよう、クライアントの状態をよく観察し、どのタイミングでどんな質問をしたら効果的か、判断しなければなりません。コーチの質問スキルがコーチングの成否を左右するといえるくらい、重要なスキルです。
傾聴
クライアントの状態を観察しながら、先入観を持たずに、クライアントの話を全力で集中して聞くスキルです。クライアントが話しやすいよう、適宜「聞いている」というサインを送りながら、最後まで口をはさまず、話に耳を傾けます。また、話の内容だけでなく、クライアントの表情や声のトーンなどの非言語情報にも注目し、クライアントが本当に言いたいことは何か、話す目的や意図までを見極め、理解することが求められます。
要望(リクエスト)
クライアントが、潜在意識の中で、当然できないと思い込んでいる目標や手段を、選択肢に加えてみるようリクエストするスキルです。クライアントが無意識に作っている制限を超えた選択肢を提案することで、クライアントの可能性を大きく広げることができます。要望は、短くストレートに伝えるのがポイントで、指示や命令口調にならないよう注意が必要です。なお、リクエストを受けるかどうかはあくまでもクライアントの自由となり、強制はできません。
承認(アクノレッジメント)
クライアントのモチベーションや自己効力感を高めるスキルです。クライアントに成長がみられた際や、成果が上がったときに、クライアントに起きた変化を、言葉に出して伝えます。言葉にされることで、クライアントは自身の成長を実感することができます。また、日頃から存在自体を承認する声かけを行うことも大切です。存在自体を承認する声かけとは、あいさつをしたり、名前を呼んだり、話しかけたりすることです。ごく当たり前の行為ですが、非常に効果的な承認方法です。
フィードバック
クライアントの状態や発言に対し、コーチにはどう見えたか、どう感じたかを伝えることで、クライアントが客観的に現状を把握できるよう促すスキルです。適宜フィードバックを行うことで、目標達成までの道のりの中で、今自分はどこにいるのか、どんな状態にあるのかに気づけ、現状認識を新たにできます。フィードバックを行う際は、内容を正確に伝えるよう注意します。以前感じたことなのか、今の状態について言っているのか、クライアントが分かりやすいよう的確な表現を心がけます。
ラポール
ラポールとは、信頼関係のことです。クライアントがコーチに対して「この人にだったらどんなことでも話せる」という安心感を持っていると、コーチングの成果が出やすくなります。信用して話してもらえるよう、コーチは、常に自分の発言や態度に注意を払う必要があります。クライアントを良く観察し、クライアントのペースに合わせた会話をするよう努めます。声のトーンや顔の表情、姿勢などもクライアントの波長に合わせ、信頼感を作り出す働きかけを行います。

セッション中、クライアントにどれだけ話してもらえるかが、コーチングの成否を握る重要な鍵となります。

対話で、潜在意識の本当の望みを引き出す

コーチングで対話が重視されるのには理由があります。それは、クライアントとの単純な会話の中では、本当の望みが、答えとして出てこないケースが多いからです。

意識して口に出す望みと、潜在意識の奥深くで本当に望んでいることが異なるのは、よくあることです。また、口に出した目標が、「すべき目標」であってクライアント自身が心から叶えたい目標ではないことも多いです。そのため、丁寧に対話を行い、クライアントの真の望みを引き出す必要があります。

例えば、クライアントの口から「痩せたい」という目標が出た場合、これを掘り下げて、なぜそれを実現したいのか、実現したら何が得られるのかを聞いていきます。すると「綺麗になりたい」「綺麗になって結婚したい」といった別の望みが出てきます。さらに掘り下げると「家族を安心させたい」などの新たな思いが出てきたりもします。これらを聞いた上で、クライアントが本当に叶えたい目標は何なのか、対話を重ねて導き出していきます。

人は、本当にやりたいことでなければ積極的には動けません。そのため、間違って、クライアントの本当の望みではない目標を設定してしまうと、当然行動が伴いにくく、コーチング自体意味のないものになります。

その他にも、そもそも、クライアントの口から目標やなりたい姿が出てこない、というケースもあります。そんなときにも、対話を通して潜在意識にアクセスし、クライアントの内側から答えを導き出します。「どんな感情で毎日を送りたいか」「人生で一番大切にしているのは何か」など、価値観に触れた質問を行って気づきを与え、クライアント自身に目標を決めてもらいます。

クライアントの潜在意識の中にある本当の望みを知るために、丁寧に対話を重ねます。

コーチング・セッションのプロセス

コーチングのセッションは、以下のようなプロセスに分けて行われます。どのステップにおいても、対話を通して、クライアントが自分で考えて答えを出すことを促します。

  1. プレ・コーチング
  2. 目標を明確にする
  3. 現状を明確にする
  4. ギャップの原因を分析する
  5. 行動計画を作成する
[プロセス-1]
プレ・コーチング
クライアントが安心してセッションに臨めるよう、準備を行います。コーチングについての説明をしたり、セッションの進め方や約束事の確認を行います。また、セッションの効果を高めるため、クライアントと信頼関係を築く働きかけも行います。コーチは、自分がどんな人間かを話す自己開示をしたり、軽く会話をしたりして、クライアントの緊張を解いていきます。
[プロセス-2]
目標を明確にする
まず始めに、セッションを通して実現を目指す目標は何なのかを明確にします。クライアントの真の望みを特定する、非常に重要なステップです。目標は、ぼんやりとした理想でなく、クライアントがはっきりとイメージを描けるよう、細かく具体的に設定します。
[プロセス-3]
現状を明確にする
特定した目標に対して、現在クライアントはどの段階にいるのか、現時点で目標にどのくらい到達しているのかを把握します。クライアントの自己評価と合わせて、周囲の人の意見もヒアリングして、現状を明確にしていきます。
[プロセス-4]
ギャップの原因を分析する
目標と現状にあるギャップの原因を分析します。今現在、目標に到達できていない原因が特定できれば、解決策もみえてきます。クライアントが自覚している原因だけでなく、他に原因は見当たらないか、根本の原因は何なのか、対話を重ねて追究していきます。
[プロセス-5]
行動計画を立てる
ギャップの原因を解決し、どんな行動をとったら目標が達成できるのかを考えます。使えるリソースがあるかどうかも、あわせて吟味します。そして、具体的な行動計画を立てていきます。計画は実行できなければ意味がないので、クライアントに無理のない範囲の、行動に移しやすい内容にするのがポイントです。

コーチングでは、夢や目標を明確にするだけでなく、達成までの具体的な行動計画を立てることができます。

コーチングで得られる効果

コーチングのセッションを受けたり、コーチングを学んだりすると、以下のような効果が得られます。

  • 目標が明確になり、人生の方向性が定まる
  • 自分が本当に考えていることがわかり、頭の中がスッキリする
  • 自分を客観視できるようになり、物事に冷静に対応できる
  • 定期的に承認してもらうことでモチベーションが上がる
  • 自分の可能性に気づくことで、潜在能力が引き出される
  • コミュニケーション能力がアップし、人間関係が良好になる
  • 自分で答えを導き出す習慣がつき、主体的に行動できるようになる

対話を通して気づきを得ることで、自分の価値観やビジョンが明確になります。悩みや迷いが少なくなり、毎日を主体的に、いきいきと過ごせるようになります。

その他にも、コーチが行う「傾聴」「質問」「提案」「承認」などのスキルを習得すると、コミュニケーション能力がアップします。そのため、周囲の人との関係が良くなるという効果があります。

また、コーチングは、自分自身に行うこともできます。セルフコーチングができるようになると、身近な問題を自分で解決する力が身につきます。

コーチングは、考えを整理したり、本当の望みや思いに気づかせてくれるだけでなく、人間的な成長も促してくれるメソッドです。

コーチングと他のメソッドとの違い

コーチングとよく比較されるメソッドに「ティーチング」「マネジメント」「カウンセリング」「コンサルティング」があります。それぞれ、コーチングとどのような点が異なるのか、ご説明します。

ティーチングとコーチングの違い

ティーチングとは、「自分が持っている知識や技術を相手に教えること」です。人に何かを教える際に用いるスキルです。

コーチングとの大きな違いとして、コーチングでは基本的に、クライアントに何かを教えることはありません。

例えば、ダイエットが目標の場合、ティーチングでは、痩せるためにどうすればよいのか、やり方自体が教えられ、その方法を実践することが求められます。一方、コーチングでは、痩せるためにどんな方法をとったらいいのか、対話を通してクライアント自身に気づかせます。クライアントが自分で気づき、自発的に行動をとることを促します。

また、ティーチングの場合、指導者と教わる人の間には上下関係が存在するため、一方的な指示や命令が行われることがあります。ですが、コーチングでは、コーチとクライアントはあくまでも対等な立場なので、基本的には、コーチがクライアントに指示や命令をすることはありません。

ティーチングとコーチングは、どちらが良い悪いではなく、それぞれ違った役割があります。例えば、入社したばかりの新入社員には、まずはティーチングで仕事のやり方を教えなければなりません。そして、仕事を覚えてきたころに、意識を改めるためにコーチングを行う、といったように、状況によって使い分けることが大切です。

マネジメントとコーチングの違い

マネジメントとは「組織の目標を達成するために、人材を育成して組織を機能させること」です。主に、組織のリーダーや管理職、マネージャーが、部下に対して用いるスキルです。

具体的には「部下一人ひとりの目標を定め、動機づけを行い、モチベーションを維持させる」「作業の進捗を管理し、結果を上げさせる」「その結果、組織の目標を達成に導く」という内容になります。

コーチングとマネジメントは、人材開発を行う点が共通していますが、相手との関わりあい方が異なります。マネジメントでは、マネージャーが部下に対して、具体的な作業の指示命令を出します。部下は、出された指示を実行し、マネージャーは進捗を確認して、適宜フィードバックを行うという流れです。一方、コーチングでは、目標達成のために何をすべきか、クライアントが自分で考えることが重視されます。そのため、基本的にクライアントへの指示や命令は行われません。

とはいえ最近では、ビジネス環境の変化が早くなり、マネジメントもこれまでのスタイル通り、上司のやり方をそのまま部下にやらせても成果が出にくいことが多くなっています。そのため、マネジメントのやり方にも変化がみられます。マネジメントにコーチングの手法を取り入れ、部下が自分で判断できるよう導く「コーチング型マネジメント」が注目されています。

その他にも、マネジメントでは、マネージャーが結果に対する責任を負っていることも、コーチングと異なる点の一つです。

カウンセリングとコーチングの違い

カウンセリングとは「クライアントの悩みや問題をヒアリングし、解決をサポートすること」です。主にカウンセラーや臨床心理士が、相談者やクライアントに対して用いるスキルです。

コーチングとの違いは、コーチングが目標達成を目指すのに対して、カウンセリングは、現状の問題解決を目的とする点です。コーチングは、未来の目標に向けてどう行動したらいいかを考えますが、カウンセリングは現状の問題にフォーカスします。今ある悩みや不安を解消するため、問題の原因を過去にさかのぼって解明します。

また、コーチングは対話を行い、クライアントに気づきを起こすことを促しますが、カウンセリングでは、クライアントに話をしてもらうことを重視します。話す過程で、クライアントが精神的に落ち着いたり、出来事や考えを整理できるよう導きます。

カウンセラーがクライアントに、自分の価値観で意見やジャッジをしない点、クライアントの話を聞くための傾聴スキルが必要な点など、コーチングと共通する部分もあります。

コンサルティングとコーチングの違い

コンサルティングとは「クライアントからヒアリングした情報をもとに、問題の解決策や、目標を達成するための具体的な戦略を考え、クライアントに提示すること」です。各分野のコンサルタントが、クライアントに対して行うスキルです。

コーチングでは、クライアント自身に「目標の設定」から「目標達成のための行動計画」までを自分で考えてもらいますが、コンサルティングでは、コンサルタントが具体的な行動計画や戦略を考えます。

コンサルティングでは、コンサルタント自身の経験や知識をもとにしたアドバイスも行うので、コーチングにくらべて、問題解決や目標達成のスピーディーな実現が期待できます。すぐに今の状況を改善したい、打ち手を見つけたいという人に適しています。

また、コンサルティングでは、クライアントに、具体的な助言をしたり解決策を提示したりするため、コンサルタントはクライアントの業種の分野に精通している必要があります。経営コンサルティング、ITコンサルティング、キャリアコンサルティングなどがよく知られていますが、それらを生業にするには、それぞれの分野の深い知識や経験が必要になります。

一方、コーチングは、クライアントの業種に詳しくなくてもセッションができる、というメリットがあります。

目的や状況に応じて、メソッドを選ぶことが大切です!

コーチングの弱点

コーチングだけでは目標達成が難しい

コーチングは、クライアントの本当の目標を明確にし、達成までの行動計画を立てられる、非常に有効なメソッドです。

しかし、一点、大きな問題があります。

コーチングでは、行動計画が決まった後は、クライアントが能動的に行動を起こせるよう、支援を行うのみとなります。つまり、実際に行動を起こすかどうかは、クライアント自身の意思やモチベーションに委ねられるということです。

ですが、コーチングで気づきを得ても、実際に行動を変化させ、定着させるのは、簡単なことではありません。

例えば、「周囲の人と良好な関係を築き、毎日を楽しく過ごす」という目標を立て、「人見知りを直すために毎日最低一人に自分から話しかける」という行動計画を立てたとします。しかし、実際には、気分が乗らずに行動できない日もあると思いますし、別のことで忙しく、行動するのを忘れてしまう日もあるはずです。

このように、実際に行動を変化させるのは、意識しただけでは難しいという現実があります。

行動を変化させるスキル「ヒューニング」

新しい行動を定着させ、目標達成を実現するには、クライアントの行動自体にアプローチを行う必要があります。ここで、効果を発揮するのが、行動変化のメソッド「ヒューニング」です。

ヒューニングでは、望ましい行動を起こせない原因となっている、潜在意識の行動プログラム(考え)に直接アプローチを行います。

先ほどの人見知りの例では、なぜ人見知りなのか、原因となる出来事はあったのか、そのことによってどんな行動プログラムが作られたかを突き止めていきます。人に対してネガティブな印象を持っている場合は、イメージの書き換えを行い、「人が怖い」という行動プログラム自体を変えていきます。すると、人が怖くなくなるので、わざわざ意識しなくても、自分から人に話しかけられるようになる、という訳です。

ヒューニングを使えば、クライアントを目標達成へ導ける確率が、格段に高くなります。

コーチングで立てた行動計画を実行し、目標を達成するためには、行動変化を起こすスキル「ヒューニング」が必要不可欠です!