コーチングとよく比較されるメソッドに「ティーチング」「マネジメント」「カウンセリング」「コンサルティング」があります。それぞれ、コーチングとどのような点が異なるのか、ご説明します。
ティーチングとコーチングの違い
ティーチングとは、「自分が持っている知識や技術を相手に教えること」です。人に何かを教える際に用いるスキルです。
コーチングとの大きな違いとして、コーチングでは基本的に、クライアントに何かを教えることはありません。
例えば、ダイエットが目標の場合、ティーチングでは、痩せるためにどうすればよいのか、やり方自体が教えられ、その方法を実践することが求められます。一方、コーチングでは、痩せるためにどんな方法をとったらいいのか、対話を通してクライアント自身に気づかせます。クライアントが自分で気づき、自発的に行動をとることを促します。
また、ティーチングの場合、指導者と教わる人の間には上下関係が存在するため、一方的な指示や命令が行われることがあります。ですが、コーチングでは、コーチとクライアントはあくまでも対等な立場なので、基本的には、コーチがクライアントに指示や命令をすることはありません。
ティーチングとコーチングは、どちらが良い悪いではなく、それぞれ違った役割があります。例えば、入社したばかりの新入社員には、まずはティーチングで仕事のやり方を教えなければなりません。そして、仕事を覚えてきたころに、意識を改めるためにコーチングを行う、といったように、状況によって使い分けることが大切です。
■ マネジメントとコーチングの違い
マネジメントとは「組織の目標を達成するために、人材を育成して組織を機能させること」です。主に、組織のリーダーや管理職、マネージャーが、部下に対して用いるスキルです。
具体的には「部下一人ひとりの目標を定め、動機づけを行い、モチベーションを維持させる」「作業の進捗を管理し、結果を上げさせる」「その結果、組織の目標を達成に導く」という内容になります。
コーチングとマネジメントは、人材開発を行う点が共通していますが、相手との関わりあい方が異なります。マネジメントでは、マネージャーが部下に対して、具体的な作業の指示命令を出します。部下は、出された指示を実行し、マネージャーは進捗を確認して、適宜フィードバックを行うという流れです。一方、コーチングでは、目標達成のために何をすべきか、クライアントが自分で考えることが重視されます。そのため、基本的にクライアントへの指示や命令は行われません。
とはいえ最近では、ビジネス環境の変化が早くなり、マネジメントもこれまでのスタイル通り、上司のやり方をそのまま部下にやらせても成果が出にくいことが多くなっています。そのため、マネジメントのやり方にも変化がみられます。マネジメントにコーチングの手法を取り入れ、部下が自分で判断できるよう導く「コーチング型マネジメント」が注目されています。
その他にも、マネジメントでは、マネージャーが結果に対する責任を負っていることも、コーチングと異なる点の一つです。
■ カウンセリングとコーチングの違い
カウンセリングとは「クライアントの悩みや問題をヒアリングし、解決をサポートすること」です。主にカウンセラーや臨床心理士が、相談者やクライアントに対して用いるスキルです。
コーチングとの違いは、コーチングが目標達成を目指すのに対して、カウンセリングは、現状の問題解決を目的とする点です。コーチングは、未来の目標に向けてどう行動したらいいかを考えますが、カウンセリングは現状の問題にフォーカスします。今ある悩みや不安を解消するため、問題の原因を過去にさかのぼって解明します。
また、コーチングは対話を行い、クライアントに気づきを起こすことを促しますが、カウンセリングでは、クライアントに話をしてもらうことを重視します。話す過程で、クライアントが精神的に落ち着いたり、出来事や考えを整理できるよう導きます。
カウンセラーがクライアントに、自分の価値観で意見やジャッジをしない点、クライアントの話を聞くための傾聴スキルが必要な点など、コーチングと共通する部分もあります。
■ コンサルティングとコーチングの違い
コンサルティングとは「クライアントからヒアリングした情報をもとに、問題の解決策や、目標を達成するための具体的な戦略を考え、クライアントに提示すること」です。各分野のコンサルタントが、クライアントに対して行うスキルです。
コーチングでは、クライアント自身に「目標の設定」から「目標達成のための行動計画」までを自分で考えてもらいますが、コンサルティングでは、コンサルタントが具体的な行動計画や戦略を考えます。
コンサルティングでは、コンサルタント自身の経験や知識をもとにしたアドバイスも行うので、コーチングにくらべて、問題解決や目標達成のスピーディーな実現が期待できます。すぐに今の状況を改善したい、打ち手を見つけたいという人に適しています。
また、コンサルティングでは、クライアントに、具体的な助言をしたり解決策を提示したりするため、コンサルタントはクライアントの業種の分野に精通している必要があります。経営コンサルティング、ITコンサルティング、キャリアコンサルティングなどがよく知られていますが、それらを生業にするには、それぞれの分野の深い知識や経験が必要になります。
一方、コーチングは、クライアントの業種に詳しくなくてもセッションができる、というメリットがあります。
目的や状況に応じて、メソッドを選ぶことが大切です!
コーチングの弱点
■ コーチングだけでは目標達成が難しい
コーチングは、クライアントの本当の目標を明確にし、達成までの行動計画を立てられる、非常に有効なメソッドです。
しかし、一点、大きな問題があります。
コーチングでは、行動計画が決まった後は、クライアントが能動的に行動を起こせるよう、支援を行うのみとなります。つまり、実際に行動を起こすかどうかは、クライアント自身の意思やモチベーションに委ねられるということです。
ですが、コーチングで気づきを得ても、実際に行動を変化させ、定着させるのは、簡単なことではありません。
例えば、「周囲の人と良好な関係を築き、毎日を楽しく過ごす」という目標を立て、「人見知りを直すために毎日最低一人に自分から話しかける」という行動計画を立てたとします。しかし、実際には、気分が乗らずに行動できない日もあると思いますし、別のことで忙しく、行動するのを忘れてしまう日もあるはずです。
このように、実際に行動を変化させるのは、意識しただけでは難しいという現実があります。
■ 行動を変化させるスキル「ヒューニング」
新しい行動を定着させ、目標達成を実現するには、クライアントの行動自体にアプローチを行う必要があります。ここで、効果を発揮するのが、行動変化のメソッド「ヒューニング」です。
ヒューニングでは、望ましい行動を起こせない原因となっている、潜在意識の行動プログラム(考え)に直接アプローチを行います。
先ほどの人見知りの例では、なぜ人見知りなのか、原因となる出来事はあったのか、そのことによってどんな行動プログラムが作られたかを突き止めていきます。人に対してネガティブな印象を持っている場合は、イメージの書き換えを行い、「人が怖い」という行動プログラム自体を変えていきます。すると、人が怖くなくなるので、わざわざ意識しなくても、自分から人に話しかけられるようになる、という訳です。
ヒューニングを使えば、クライアントを目標達成へ導ける確率が、格段に高くなります。ヒューニングについては、弊社主催の無料体験セミナーで実際に体験することができます。詳しくは当HP「お知らせ」からご確認ください。